もう最近は漫画を殆ど読まなくなっただけでなく、大部分を手放した。私は集めるときも手放すときも作家単位で行う傾向があるが、今のところまだ明智抄の本は手放していない。
私は高校生くらいまでは欠かさず毎号「花とゆめ」を読んでいたので、明智抄の「女の十字架」はきっちり覚えている。
えげつなくストレートで辛口な、隙の無いストーリーだった。私は好きで繰り返し読んだ。
今、コミックスを見ないで記憶だけで書いているが、ようするに、女は容姿が重要、という話である。そう言ってしまうと終わってしまうが、この主人公は容姿が美しくないばかりに、ひらがなしかしゃべれない程度の頭のクラスメイトの美少女に馬鹿にされたりする。また、母親(母親は美人)の友人が遊びに来ると会わせないように隠されるというエピソードが印象的だ。
それらの主要なエピソードの中でも、実は一番私の中で鮮明に残っているのは、その美人の母親が父親(いたずら書き程度の容姿)と結婚した理由である。美人のお母さんが、どうしてそんなお父さんと結婚したか? それは、「初めて見たとき失禁した」くらい、その母親の容姿に感動した最高の賞賛者であるからだというのだ。
自分を見て失禁するような人と、結婚できるだろうか? それよりも、失禁しているシーンを見たのに、つきあえるのか?
当時全く理解できなかった。が、今になると、失禁してくれる人がいるなら、そういう結婚もありなのかもな、と理解できる。私もずいぶんゆるい人間になったものだ。
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