トラウマ本

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 昨日感想【ネタばれなし】を書き、そのあとWebでダ・ヴィンチの加藤先生へのインタビューを読み、なるほど、こういう風に表現すればよかったのか、と自分の力のなさを自覚しつつ、今日雑誌の方のダ・ヴィンチを初めて買った。知らない作家ばっかりだ。ああ私は今を生きていない。

 もともと、友人に比べたら私は読書家ではないし小説を読んでいない。本は好きで買うけれど、特に近年は自分をなんとかしなきゃいけないと、「これを読んだら少しはバカが治るに違いない」とか、「これを読んだら少しは家事の段取りがよくなるに違いない」とか、「これを読んだら少しは幸せだと思えるに違いない」とか思って本を選んでいる気がする。
 私は読めないわけじゃなくて、読まないでいただけだと自分では思っている。でも、今回、ピンクとグレー周りのツイートを観察していたら「本は苦手だけどシゲの本はがんばって読む〜」という感じの人が結構いた。そういう「初めて本を読む人」や、ジュニアからの一般書籍デビューが加藤先生という中学生もいるのだろう。彼女たちも衝撃を受けただろうか。ピンクとグレーがトラウマになったりするんだろうか。

 トラウマ、と言っていいのかわからないが、中学時代に読んで私が衝撃を受けたのは筒井康隆の「七瀬ふたたび」かもしれない。少年ドラマシリーズでやっていたドラマはほとんどが子供向けSFが原作だったので、完全に油断してこの原作本を読んでしまった。読んでから年月がたっているのだが、それでも、ヘニーデ姫のくだりのどろりとした濃厚さはいまだに鮮烈なイメージとして残っている。当時は気持ちの悪いハズレ章だと思っていたはずなのだが。
 そしてもう一冊やっぱり筒井康隆の「農協月へ行く」という短編集。私はこの本を、通っていた中学校の図書館で借りた。文庫の表紙がハードカバーになっているシリーズが図書館にあり、その一冊がこれだった。もちろん、学校図書館で借りた本なのでこちらも完全に油断している。この本の中に「信仰性遅感症」という「シスターが禁欲的になりすぎて、味覚や快楽などが遅れて感じられる話」があったのだが、他のシスターと食事をしている静かな時間にいきなり遅れて快楽がやってくるシーンの描写が、当時の中学生女子には強烈すぎた。そういうかなりエロティックな描写のある本が学校の図書館にあったことを一人で抱え込むことができず、同じクラスの女子にこんな本が図書館に!とそのシーンを読ませた。
 その同級生はじーっとそれを読んでいたが、読み終わると「全然いやらしくないよー純情だねー」的なことを言い私を笑った。私は、同級生に同意してもらえなかったことがかなりショックだった。私が変なのか....? 普通はもっとすごいのか....? この本はそれも含めてトラウマ。
 今思うと、そこだけ見せても意味がわからなかっただろうという気もする。女の人の頭がおかしくなってあばれてるだけ。
 後日、その子に「○○ちゃん、やっぱりあれ凄くいやらしかった!」と言われたような気もするが、自分で勝手にねつ造した記憶なんだろうか。