手越くんへの手紙

小学校6年生の下の子は、3才の時から手越くんのファンだ。ちょうど私がNEWSにはまりDVDを見まくっていた頃だったのだが、それを一緒に見ながら、「この子がいい」と指をさす。違うシーンになり、もう一回聞いても、手越くんをさす。わざと違う人を指してこの子?と聞いても、この子じゃない、この子、と手越くんをさす。まだこんなに小さいけど、ちゃんと顔を識別して、誰かを好きって気持ちになるんだな、と驚いたことを覚えている。

嵐のファンだった上の子も、いつのまにか手越担になっていた。彼女はテゴマスのハーモニーが好きで、そこがきっかけなのかもしれないがよくわからない。

いつも子供たちのために手越くんのうちわを買った。下の子が大きなピンクのリボンをつけてウキウキしている姿は微笑ましかった。コンサート空間は幸せに満ちている。手越くんの笑顔は発光しているかのようだった。今年は久々に着席ブロックが当たって下の子もSTORYに連れて行けることになり、みんなで心待ちにしていたのだけれど。

手越くんはとにかく歌が安定していて、揺るぎようのないNEWSの歌の要だ。彼の透き通る高音は聴いていて気持ちがいい。私の好きなNEWS の曲のひとつに「 Snow Dance」がある。地上から空を見上げて、白い息を吐く光景が浮かぶようなコヤシゲの歌声から、手越くんの声で暗闇から光が差し、増田くんの声で天使が舞い降りてくるような曲。4分割な単純な歌割なのに適材適所に配置されていて、4人の個性が生きていて素晴らしいと思う。手越くんは歌声でも、光を見せてくれる。

手越くんの歌で好きなものはいくらでもあげられるのだが、個人的には他のメンバーの歌にハモっている箇所が特に好きだ。NEWSを聴き始めた頃は加藤くんの声に手越くんの声が重なるとどうしてこんなに心地よくなるんだろうと、音声解析ソフトを見ながら考えたりもしていた。手越くんのハモパートが堪能できる「生きろ」の2番は特に好きだ。他の3人のそれぞれの歌声に重なる手越くんのハモは、前に出過ぎずちょうどいいポジションで3人を支えていて、この力はNEWSの宝だなあ、なんて思っていた。

こんなふうに書いているときりがない。

上の子が高校生だった2014年の暮れ、願いの短冊に「NEWSがコンサートやりますように、てごしがやらかしませんように」って書いていて苦笑したことがある。 SNSネイティブな世代の彼女はいろんな情報を目にしてきたのだろうと思う。下の子のようなピュアさはないし淡白な感じだけど、OpenRecでゲーム配信することを知った時は、自分の大好きなもの二つのコラボレーションに近年見ないくらい興奮して、「自分が生きてるうちにこんな光景が見れるなんて!」とまで言って喜んでいた。

今回、1回めの外出の記事が出て彼がユニットから外れたとき、彼女は「好きなものを好きだと言っていこう、と思って、専用のTwitterアカウントをつくった」と言っていた。そういう気持ちは大事だと、彼女の言葉に私も嬉しくなった。でも結局2回めの外出が記事になり、それを見て、彼女は抱えていたものが決壊したように泣きだした。挑発するかのような行為自体がショックだったのかもしれない。「多分、本人はいろいろ調べて、本人なりのポリシーで動いているんだろうけど、そういうことじゃないんだ」と言っていた。

私は彼じゃないからどういう気持ちでいるのかわからない。経済活動を止めてしまう必要はないという考えなのか、1回めの処分に納得いかなくて荒れたのか、ゴシップ誌の監視や事務所の監視への反発なのか、睡眠障害なのか依存なのか、無責任な想像はいくらでもできる。いつもゴシップ誌に付き纏われ面白おかしく書き立てられる彼にとって、コンサートを含め仕事場は心安らぐホームで、彼のバランスを取るものだったのではないか、とか。これも、想像でしかない。

手越くんの歌を聴いたり言動を見ていると、何かと闘っているように思えることがある。それこそ、彼がよくやっているゲームのように、常にどこかに敵がいて気を抜くと殺されてしまうかのような。去年の DoLLsというソロ曲も、こんなことを言いたいのかな、と感じるものがあるし、もう32歳だし、自分の中身と仕事との色んな解離と闘っているのかもとも思う。

彼の精神状態は限界なんだろうか。光を放つエネルギーは相当なものだろうから、今の彼に求めるのは酷なのだろうか。私は、本心を言えばNEWSの宝の歌声を失いたくないから、手越くんにはずっとNEWSでいてほしいと願っている。それが無理なら、少なくとも、仕上がってた STORYライブは、幻にしないでほしいとは思う。みんなで作るSTORYを、未完のままにしないでほしい。もし、それも今の精神状態で考えることすらできないならば、せめて今はファンレターに目を通す時間にしてもらえないだろうか。

活動自粛が発表された日、下の子は手越くんに手紙を書いた。11 歳にして初めてのファンレターだ。3歳から応援して、ネットなんか見ることもなく、本当に純粋に手越くんの仕事だけで幸せをもらってきた子の書いた手紙。好きな気持ちと、STORYに行きたかったことと、NEWSをやめないで下さいという内容。私はこっそり写真を撮って、今回の件でしんどくなる度眺めている。手紙を出した後、下の子はぼそっと「お手紙届くといいなあ」と呟いていた。おそらく全国からたくさんの手紙が届くだろうし、彼がそれを開封してくれるのかわからないけれど、この子の気持ちが、今の手越くんの心に届きますように。

そして、手越くんが闘いの手を休めて、たくさん寝て心穏やかになって、光を蓄えることができますように。