最近の2人の娘と私のこと (年末編)

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先月公開された宮迫さんと中田さんのYouTube番組「Win Win Wiiin」の、初回ゲストは手越くんだった。一緒に見ていた下の子が時折少し寂しそうな表情を浮かべていたのが気になり、終わってから感想を聞くと、
「90%かっこいい、10%さみしい」
と言っていた。以前は「半分さみしい」だったから、だいぶ寂しさが解消されてきたのかもしれない。

「BTSファンの友達にてごしのファンだっていってもわかってくれないから、てごしのファンと話をして萌えたい」と言っていたことがあって、聞き慣れていないその「萌えたい」という言葉が一瞬理解できず「えっ?」と聞き返してしまった。クリスマスライブのVRモードのテスト映像をゴーグルで見せた時には、「すごい!」と興奮して涙まで流していた。そして「猫」の動画のソフトクリームをあーんとこちらに向けるシーンについて「あれをVRゴーグルで見たい。見ながらうずまきソフトを食べたい」なんて言っていた。

下の子が音楽を聴いている古いiPhone に手越くんのジョブカンの壁紙を設定してあげた時、そのまま手越くんの画像検索をしようとしていたので、「あまり検索しないほうがいいよ。悪口とか書いてる人とかいるよ」と声をかけた。下の子は「そうなん?」と驚き、「もう、しょうがないのにね」と言って検索するのをやめた。


大学生の上の子に、下の子がVR映像を見て涙を流していた話をした。彼女は違う意味に捉えたのか、
「小学生で推しに裏切られるなんてかわいそう」と言った。
私が「裏切られたのかなあ」と言うと、
「裏切られたでしょ」と、言い切る。

以前書いたように、上の子はアイドル手越くんは好きだったけれど、人間手越くんに苦手なところがあって、それが見えるのが怖いからと、あまり彼の動画を見ない。でも、どうやら選んで見てはいるようだし、インスタも時々いいねをしている。彼女の心情はわからないけど、「やりたいことを全部やる」という手越くんに対して「自分の見たいものだけ見る」というのは、実は思想的な部分を共有した、いい付き合い方のような気もする。

彼女の言う手越くんの「苦手なところ」とは、「人の気持ちがわからないところと、すぐ、自分はこう思う、となるところ」なのだそうだ。それはNEWS時代にも「悪気のない自己中」と言われていた個性の部分かもしれないし、独立したばかりの頃に、彼が他のメンバーのファンを傷つけているのが辛い、と彼女が嘆いていたことと関係するのかもしれない。

でも、「人の気持ちがわからない」というけれど、それはある程度はお互い様なのではないかと思ってしまう。自分と全く違う環境、年齢、考え方の、他人の気持ちを「わかる」方が不思議だ。わかったようなことを言ってもあくまで想像でしかない。自分と違う要因が多ければ多いほど、想像は難しくなる。
私や娘に、手越くんの気持ちはわかるんだろうか?ジャニーズ事務所という大きな組織の独特のマネージメントで18年も人前でアイドルをやり続け、他の仕事をせず30代を迎えた人の気持ちは、私たちにわかりようがないと思うのだけど。


「ママがてごしに残ると思わなかったなあ」と、上の子が言った。

確かにNEWS時代の手越くんにはあまり興味を持っていなかった。今でも、下の子みたいに目がハートになってキャッキャいう感じでもない。なのに、手越くん観察がやめられない理由は自分でもよくわからない。見れば見るほど自分と違う人だなと思うのに。

よく取り沙汰される彼の古いジェンダー観(それこそ、悪気のないマッチョ)と、彼が言う「飲みュニケーション」なども、私がこれまでの人生で苦手としてきたものだ。主語を大きくするつもりはないけれど、少なくとも若い頃の私にとって窮屈で不快なものだった。性別が自分の最大の特徴となり、その役回りを受け入れざるを得ない理不尽さ。そして、手越くんのあの退所劇をややこしくした要因もその2つにあると思っているから、動画でそういう部分を感じるとやりきれない気持ちになる。飲みュニケーションもそうだけど、ちょっと年相応でない上の世代の言語感覚をみせることがあって、彼が心酔する経営者界隈の文化を感じたりもする。君の憧れるおおらかな古き良き昭和は、別の視点から見るとそんなにいいことばかりでもなかったよ、と呟きたくなる。

ただ、副業禁止の厳しい事務所でずっとビジネス書を読み続けていた彼が、興味のある人と興味のある「会話ができる」場所がその「飲みュニケーション」という場で、ビジネス修行を積む手段が本の中とそこにしかなかったのであれば、そういった信仰になるのも無理もなかったのかなとも思う。それも、勝手な想像でしかないけど。


私は常に歌動画を心待ちにしているし、基本的に彼の歌の「技術」に惚れ込んでいる。退所会見や「Win Win Wiiin」を見た時に感じた、好き嫌い良い悪いというのを超えた「この人すげーな」という感覚、それもある。でもそれだけじゃなくて、「大好きだった4人のNEWSが終わったことを納得したくて手越くんを観察して彼の気持ちを想像しているうちに、自分の人生を思い出して変に共鳴している」という状態にある気がする。

手越くんが退所した翌日だと思う。私は「子供たちがショックを受けていてかわいそう」「せめて一回戻って、配信でもいいからライブをやってほしかった」という、あの時のNEWSファンとしてはごくごく普通な感想を夫に言った。
すると夫は私に「これだけ注目されているんだから、辞めるんだったら今でしょ」と言い放った。夫はジャニーズ嫌いで私がNEWSにはまったことを心から嫌悪している人物だ。だからその時は「ああ、また私が言って欲しいことの逆を言う」としか思わなかったのだが、今になって考えると、ファンでない人が客観的に見たらあの時はそういう状況だったのかもしれない。

以前も書いたが私は30歳で転職している。転職のタイミングは、再就職先との関係でその瞬間を逃すわけにはいかなかった。もちろん私が転職した理由は私自身のもので、手越くんのケースと重ねられるようなものではない。ただ、事情を知らない田舎の親に何度も「もったいない」と言われ、もやもやしたことを思い出す。

当時の職業は定年の年齢まで続けることが難しく、若い頃からライフプランやセカンドキャリアを意識する必要があった。私もいろんなことがあってそれなりに悩んでいた。なぜそのタイミングでそこに転職したのかは、結局私にしかわからないことだ。それを全部親に言えるわけでもないし、言ったところで理解してもらうのは難しい。それはアエラドットのインタビューやWin Win Wiiinで手越くんが言っていたことと変わりはない。

そして、あの時私は本当に同僚や殆どの上司に不満がなかった。あの職場で働いた時間は、人生の財産だと思っている。だから、手越くんが事務所もメンバーも大好きで感謝していると言っていることを、疑うことなく受け入れられる。

そうやって私が都合よく自分の人生と重ねている上、手越くんに一貫して邪悪なものを感じないから、ボロクソに言われていると辛くなるのかもしれない。
30代になって、自分で自分の人生の選択をしたことを、「裏切り」と言わんでやってくれないか。


彼がいう「物事が最終的に好転する」というのは運の話ではなくて、問題解決手法を自分の中で持っているということなのかもな、と思うことがある。やること全て筋がいい訳ではなくても、おそらく結果を解析して修正していくことができる人なんだろう。もしかしたら昨日気になっていたことは、誰かのコメントで把握して、もう現段階で修正されて、次の動画では変わっているのかもしれない。それは次を見てみないとわからない。Win Win Wiiin も、「でもこれ、ひと月前の手越くんなんだよなあ」って思って見ていた。
だから、また明日や明後日の手越くんも、私は見てしまうんだろうか。

NEWSのコンサート会場に集まっていた人達が5万5千人いたのなら、その全員にいろんなバックグラウンドがあって、5万5千通りの受け取り方と感情があるんだろうなと思う。それだけの他人の気持ちを理解することは難しいし、私が理解する必要もないかなと思っている。その中のたったの3人である私と娘たちでも、退所から半年たった今これだけ違っていて、難解なんだから。

クリスマスは、下の子と2人で手越くんのオンラインライブを見た。上の子は出かけていて家にはいなかった。テレビに大きく映された手越くんを、下の子が興奮してiPhoneで撮り続ける。カメラロールが手越くんで埋まる。ファンの前で歌っている姿は幸せそうで美しくて、下の子もそれを見てきゃあきゃあ楽しそうで、一緒にいる私もいろいろすっかり忘れて満ち足りた気持ちになっていた。

幸せなクリスマスだったな。
手越くん、どうもありがとう。