酢ラーメン/三原じゅん子

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 上記ヒロ君とともに金八先生出身で気にしていた人物の中に、三原じゅん子がいる。
 当時は三原順子だった。私は漫画家の三原順に愛着を持っていたので、名前からはバッタもの、という印象を持った。しかし、私は、彼女は公平に評価して美人であると思っていた。デビュー曲「セクシーナイト」を聞いた限り、声と音程はまあまあである。
 しかし、彼女はどうも危ない感じがした。素材として一般的に考えて上質であるはずなのに、なんだかどうもずれている。
 まず、化粧。彼女は「マスカラ」というものを最初に私に認識させた人物である。まつげが束になっていた。顔はべったり白かった。「お化粧が好き」と言っているのを何かで読んだ。「好きだからってこれはなかろう」と私は思っていた。せっかく美人なのに台無しだ。
 「GO!GO!チアガール」では主役をやっていた。内容は殆ど覚えていない。ドラマ終了後、交際宣言をしていたのは良く覚えている。宮脇康之だ。二人で並んでいる記者会見はかなり衝撃的な映像だった。「この人のずれかたは半端じゃない」と私は納得した。
 交際宣言がマイナスに働いたのか、三原順子は次第に見る機会がなくなっていった。たとえ美人であっても、本人のセンスの有無は重要なのである。だが、本人を何とかだまして、まわりがもっと強く固めて行ったら何とかなったのではないか?などと私が考えていた頃、当時、「おしゃれ」な人とされていたアン・ルイスが「今一番プロデュースしてみたい人は三原順子、この子はもっと売れるよう」と言っているのを読んだ。私はかなり意外で、「無理なのでは?」と心の中で思っていた。と同時に、「アン・ルイスマジック、見てみたいものだ」という気もあった。
 その記事を読んで随分してからだと思う。三原順子が夜のヒットスタジオで「変な格好」で歌っているのを見た。上手く表現できないが、またを開くとふんどしのように下に垂れ下がる布のループを下半身にまとっていたような記憶がある。更に、その服装はアン・ルイスプロデュースだと司会者が言っていたような記憶もある。しかし、それは例えばアン・ルイスが自信たっぷりに着てたら成り立つのだろうが、三原順子は見た感じ、本人はどうも消化してない。やらされてる感じだ。あの厚化粧や交際宣言は堂々と本人が好き好んでやってる感じだったのに。彼女が歌うのを見たのは、その時が最後のように思う。
 ともかく、名前をじゅん子に改名するのも、レーサーになるのも、最近になってコアラといちゃいちゃして画面に登場するのも、やることなすこと、どうも私と住む世界が違う人だ。だいたい、じゅん子は文字面があまりにもぬるぬるして気持ち悪いとは思わなかったのだろうか?
 しかし、もうすっかり慣れた。じゅん子、くらい気持ち悪くないとこの人には物足りない。

 ところで、私はこの人から強烈に影響を受けたことが1つだけある。
 まだ、つっぱりアイドル三原順子の頃、私も10代の頃だ。この人が「毎日必ず1食はラーメンを食べる」というのを読んだ。私はラーメンは苦手な食物であったので、げえ、と思ったのだが、更に読み進むと、「そのラーメンに必ず1センチくらい酢を入れる」と書いてあった。
 ある時私はそれをやってみた。ラーメンは苦手なので、別にまずくなってもかまわなかった。1センチ、というのは相当量なので、とにかく大量に酢を入れてみた。恐る恐る食べてみると、今までおいしいと思ったことのないラーメンが、とてもとても美味しかったのである。それ以来私は欠かさず酢を大量に入れるようになり、苦手どころかラーメンが好きになった。この件についてのみ、彼女に賛同している。