人間手越くんの話

 手越くんの話に「NEWS」というタグを入れると「NEWSと関係ない人の話にNEWSタグを入れないでください!」という人(誰だ?)が現れる可能性もあるけど、私の人生の記録としては連続性がある話なので、後で自分で整理するときに見やすいように「NEWS(概念)」タグに変えた。あと、「君」と「くん」の使い分けに特に意味はない。

 以前、レタスクラブの連載「オトナのNEWS」の切り抜きをチェックしたら、Vol.46だけ紛失していた。よりによって加藤くんの回だったこともあり、2015年10月25日号をネットで探して再購入した。その中で、加藤くんが当時のメンバーについて語っているので一部引用する。

「手越は......、ずっと変わらないのがすごい。どんな相手でも、どんな場面でも変わらない。それがあだとなるケースがあったとしても、本人は気にせず、臆せず。変わらずにそこにいてくれるっていう安心感は、やっぱりありますね。NEWSの中で僕らは年下チームだけど、2人のスタンスはたぶん全然違う。でも生き方が不器用なところは似てる(笑)。」


 3と1に別れた「1」の方の、生き方が不器用な人の話。

 6月から「人間手越くん物語」が始まった。
 脱退直後の混乱時における、彼とファンとの温度差や、世間からの強烈なバッシング。出版社の目論む"暴露本"ビジネスのようなものに身ぐるみ剥がされたり、予想もできなかった脱毛サロン経営を始めたり。
 そんな感じで、アイドルの物語の定石を無視する展開が短期間に続くから、追うだけで消耗して脱落した人もいるかもしれないな、と思う。

 旧手越担の上の子は彼の動画をあまり見ようとしない。彼女は昔からYouTubeを見て来て目が肥えているので、企画やコラボに不満があるらしい。だがそれ以上に「ライブで見るNEWSの手越くんは好きだったけれど、人間として見るとこういうところが嫌だ、と思う部分がある。動画はそれが見えてしまうのが怖い。だから、見ない」ということだった。

 私はこの期間、ツイッターで何度も悪口や嘲笑を踏んだ。私自身彼の退所はショックだったし喪失感が半端なかったけれど、憎しみを全て彼にぶつけているのを見てしまうと、思わず反論したくなる。「彼はできないこともいろいろあるけど、できることと良いところも山ほどあるよ」人間性を叩かれれば叩かれるほど、そうやって庇いたくなる。私自身いろいろと「できないこと」があるから、何かができない人に寛容なだけなのかもしれない。でも、できないこととできることのある4人が穴を埋めあっていたのが4人時代のNEWSだったし、少なくとも私は彼の「できること」の恩恵をたっぷり受けて来た。

 確かに、最初の混乱期と、著書出版あたりまでは、私が見てもかなりハラハラした。うちの娘を始め多くのファンが傷ついていたのも知っている。彼の良いところを彼の「できない部分」が潰してしまう流れが怖かった。
 ただ、出版会見と謝罪動画以降、彼はいろんなファンを傷つけないように、彼なりに、細心の注意を払っているように感じる。悪意を持って見ればなんだって彼の欠落だろうけど。

 NEWSというグループは寡作だけど、作品のクオリティが高いグループだ。NEWSを離れた手越くんはもともとの彼の個性の「とりあえずやってみる」というスタイルで突き進むから、NEWSと同じクオリティを期待すればがっかりもするだろうと思う。

 私も、手越くんが好きなことをしてくれればそれでいい、というタイプのファンではないから、必ずしも全てに満足しているわけではない。人間手越くんは、想像以上に思考がクリアで論理的な人だったんだな、とは思うのだけど、文学的な情緒や文化的なセンスはやっぱり感じない。だからなのか、私は彼作詞の歌はいつも聴いていてムズムズしてしまう。

 動画は全て上がるたびに見ているけれど、内容うんぬんより、「これはファンが喜ぶ」「これは伸びる」「これは伸びない」「伸びるけどファンが嫌がる」「これはやばい」みたいなことばかり気にしているかもしれない。毎回「ファンが喜ぶし伸びる」だったらいいなと思っていて、何が来るのか少し心配な気持ちでサムネイルを覗く感じ。今までYouTubeをデータを気にして見たことがなかったので、手越くんのチャンネルの登録者数や再生数や高評価などの数値を眺めるのは新鮮だ。リアルすぎて消耗はするけども。

 今は、彼の動き全部を、一つのコンテンツとして追っているような気がする。人間手越くんは興味深いし、先が読めないから。気負って必要以上に攻めすぎないで欲しいとも思っている。ネガティブを抱えたメンタルの弱いうちの上の子のようなファンを少し休ませてあげて欲しいから。

 もっと上手に生きて欲しいけど、無理なのかもな、もとからこういう人なんだものな、と、引用した加藤くんの言葉を読み返している。


 ところで、参考までに、NEWSの手越くんの歌が好きだった娘に見て欲しくて、さりげなく勧めた動画をまとめておく。娘がこれを見ていつか見てくれたらいいな。

【チャラ男の無人島生活3】これが無人島最後の動画です
無人島最後のシーンで焚き火の前でアカペラで歌う歌が、沁みる。

しばなんの家で1日パパ生活をすることになったよ
最後の方、子供のリクエストで歌うのだが、これも沁みる。

【鬼滅の刃】炎/紅蓮華 仮装して歌ってみた!【Demon Slayer:Kimetsu no Yaiba】
声量があって歌い方が個性的な人はグループにいると「悪目立ち」と欠点として扱われがちだが、ソロなら武器になる。あまり音を調整しすぎずライブ感も残っていて、彼の持つ様々な技術も詰め込まれていて、すごく良い。私は画面を見ず歌だけ聴いている。特に紅蓮華は、一人で歌っているのにいろんな声が聞こえてくるようで面白くて何回聴いても飽きない。私はこの歌声で、手越くんがソロになったことを肯定的に捉えることができた。

【明日から歌手のように歌えるボイトレ講座】カラオケで上手くなるだけじゃなく、人を感動させる歌い方を徹底解説
手越くんってビジネス書読みまくってたせいか、ビジネスプレゼン的な話し方がうまいなと何かの時にも思ったのだけど、こういうセミナー講師のような話し方も心得ているのかと少し驚いた。論理的に展開する話が上手いし、実演として歌も聴ける。

また、手越くんのチャンネルではないけど、
【スーパースター登場】手越祐也にアカペラカラオケで95点取れるまで歌わせてみたww
手越くんがカラオケで点数を取るための歌声を聴かせてくれる。置きに行っている歌唱が聴ける。動画としても面白い。

少し余談。

 紹介した動画の上の二つは歌ったこと自体に文句が出ているのを見かけた。特に後者は、別件を検索した時にNEWSファンからの非難ツイートをうっかり見てしまってかなり凹んだ。私が見てきた4人の物語の象徴となる、最初のライブで3回歌った歌。それを子供にリクエストされて戸惑いつつも、その子だけを見て歌ってあげている姿、いろんな想いが詰まっていそうなそんなシーンを見れたことが、私はシンプルに嬉しかったのだけれど。
 3と1に別れても、あれは私にとって永遠に4人の歌。1人の彼も、いつか聴きたい人たちの前で、歌う日が来て欲しいと思う。