「CHECKMATE」感想メモ(ライブ編)

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何か無性にある食材が食べたくなるような時は栄養不足のサインだと聞くし、確かにそれは今まで生きてきた実感としてもある。生存のために体が求めているんだろうと思う。今自分が欲していると感じたら、自分の欲求に従うのが最善だ。

私が最近手越くんのライブによく行くのはその類の欲求のような気がしている。彼のライブは生命力に溢れている。パフォーマンスが圧倒的で、迷いがない。生の歌声が強いのだ。

おそらく私は死にかけているんだろう。ライブに、擬似的な恋や仲間との絆や成長や感動や涙を求める人もいるんだろうけど、私に一番必要な生存のための力になるものが、今の手越くんのライブにあるんだと思う。

今年の5月には、手越くんのシンフォニックコンサートと、CHECKMATEツアー大阪公演の両日に行った。月3回見たことになるが、おそらくそれも生存本能だ。

それらのコンサートについてはこんな感想をツイートした。

【2023年5月4日
手越祐也シンフォニックコンサート
東京オペラシティ】

「今日は下の子と東京オペラシティへ行った。ちょっとはおしゃれしたら、とか思ったけど、頑なにスカートを履かない。それはともかく、コンサート、とても感動してたみたいでよかった。母もあの時間とあの音楽を共有できて嬉しい。
本当のところ、最初はどう聴いていいのか戸惑いがあった。並走して溶け込む歌と演奏を、脳が勝手に分離して聴こうとする。音が凄すぎて処理能力超えてるのだろうか。しばらくしたら慣れてきたのだけど、でもやはり多少気を張って聴いていた気がする。
それが全く消えたのはMAZE WORLD。もうただ全ての音の掛け合いがかっこいい、気持ちいい、好き、楽しい。高尚な場にいるという変な緊張感があの一曲で解けたのか、それが何なのかよくわからないけど。それ以降はずっと楽しくて自分から前のめりで音を取りに行くように聴いた。
OVER YOU、すごかったなあ。演奏も歌も。圧巻って言葉以外思いつかない。 」

【2023年5月17日
手越祐也「CHECKMATE」ツアー 大阪公演
Zepp Namba】

「手越くんのライブ行ってきた。歌が上手いのはいつものことなんだけど、あらためて、超ハードなセットリストでずっとニコニコキラキラしながら息ぎれひとつしないで音源以上の歌が歌い続けられる凄さね。」


「CHECKMATE」は以前書いたようにとても好きなアルバムで、その収録曲が聴けるだけで気持ちが上がった。ライブに行く度、毎回新鮮に「歌が凄い」と思わされる。それは以前の比でない。ソロになって最初の頃は演出等に手探りな印象もあったけれど、今回のライブはそういう面でも満足度が高かった。特に、スクリーンを置かずレーザーの光の演出に絞っていたところ。3次元的に広がる強い光は、迫力ある歌声や演奏にとても合っていた。

ところで、CHECKMATEツアー2日目については個人的に記録しておきたいことがある。

今までNEWSや手越くんのライブは同行者は全て娘だった。でも今回大阪二日目の5月18日は娘が2人とも行けなかったので、初めて知人に声をかけた。もちろん1人でも行けたのだが、手越くんの声の音としての凄さを誰かに体験してもらいたかったし、彼のライブならファン以外でも楽しめるはずと思ったのだった。

私は自分の趣味に人を誘うのがとことん苦手なのだが、誘う相手として今回唯一思いついた人がいた。その人は私より若干年下の、数年前まで職場で一緒にお昼を食べていた女性。現在難波で働いているはずなので、平日の勤務後にライブに来てもらえるかもしれないと思ったのだった。(結局、私の記憶違いで尼崎にお勤めだったのだが)

彼女はおそらく手越くんをそんなに知らない。誰かのライブにもほぼ行ったことがなく、音楽もあまり聴かないという話だ。でも、地域の文化にとても詳しくて、一人で各所のマイナーな祭りを見に行く行動力を持ち合わせている。そして、物事に偏見がなくて優しく、誰かの悪口を全く言わないという点で、信頼できる人だった。手越くんはフリー素材か何かのように週刊誌の記事の穴埋めに使われがちで、その見出しだけで先入観を持っている人が多いかもしれないと思うのだが、彼女ならそういう次元にはいない気がした。

当日彼女は仕事終わりに駆けつけてくれた。「何も知らないので作法を教えてください」といわれ、私は入場の方法、小銭の用意など一通り説明した。

入場し席に着いてから、手持ち無沙汰にならないよう用意してきたペンライトを渡した。そして、ペンライト初体験という彼女に使い方を解説するとともに、重要事項と思われることについてもいくつか説明した。

「話の中に"ハニー"という言葉が出てくると思いますが、ファンのことを指します」
「下の名前がゆうやなので、みなさんゆうやコールをします」
「アンコールの時はみなさんダーリンと言いますが、そういう文化だと思ってください」

彼女は、
「了解です。ハニーの皆さんにご迷惑をかけないようにします」と、「ハニー」をいじる訳でもなく真面目に言っていた。私たちの会話は丁寧語だ。

席は最後列。もし良かったらこれを、と、双眼鏡を手渡そうとすると、丁重に断られた。ペンライトで十分だとのことだった。手越くんの顔立ちは日常生活ではなかなか見れない貴重な造形なので、双眼鏡で見る価値は十分あるのだけど、確かに抵抗あるというのもわかる。「人の顔を双眼鏡で見て欲しいと思う」そんな私もよく考えたら変なのかも、と思った。

ライブが始まると、彼女は前の人たちと合ったタイミングでペンライトを振ってくれた。溶け込む努力をしてくれたのか、楽しんでいるのかその場ではわからなかったけれど、こちらが気を使ってしまうような場面は一切なかった。アンコール時は、「ダーリン」(ちゃっちゃ)、の手拍子部分に普通に参加してくれた。私もあのダーリンコールは流石に難易度が高くとても言えないため、2人でちゃっちゃ、と手拍子をしていた。一番最後の退場の時も、前の人たちと同じように手越くんに手を振ってくれていた。

帰り道、電車で話したことで覚えてることはこんな感じ。

「ありがとうございます、楽しかった、歌が上手いし、いろんな歌が歌えるんですね、ダンスもキレキレで。」

そうなんですよね。その通りです。こちらこそ来て頂けて嬉しかったです。


8月12日のシンフォニックコンサートは、夜の部が取れたので下の子と行く予定だ。セットリストにおそらくCHECKMATEの曲が加わるのだろう。どんなアレンジでどんな音を聴かせてもらえるんだろうか。今から楽しみだ。

きっと、歌いながら最高に幸せそうな表情しているんだろうと思う。あの表情が見たいので、双眼鏡、持っていきますかね。