寂試験

あたしの背中に犬がいる
テスト中にも離れない
重たすぎて眠ったら
あたしの背中は机になった

えんぴつのしんが跳びはねる
ほらほらそっちはあぶないよ
呼んで怒ってはたいたら
あたしの手首は定規になった

(昨日はおそくまでやりあって
教科書を泣かせてしまった)
(心が不安定であたしも泣いて
もらい泣きしたえんぴつもぬれた)
(涙はコップ一杯分青くあおく澄んで
空と海を満たし
雨になって降ってきた)
(あたしはこころで
教科書がぬれて読めなくなればいいって
思いながら
傘の下で目をとじた)
(夜で
誰一人ふりむく人はなくて
あたしはさみしくって
時計を投げた)

目覚ましベルが鳴り響く
テスト用紙が帰宅する
景色がとろとろ溶け出して
あたしのこころは化石になった


 
 新潟日報読者文芸の 「生活詩」では、掲載されるその週の一番出来と評価される1編と、選評で一部引用されるその他の「入選クラス」の作品と、タイトルだけ紹介される「佳作」扱いのものがありました。これは、一部引用だったもの。
 とにかく当時は学校の勉強二の次で、しょっちゅうなにか書いて送っていました。そのころの新聞の切抜きが捨てられずにたくさんあります。依存症だったのか、単に掲載料狙いだったのか。生活詩は、掲載された切抜きが4枚、選外だった切抜きが15枚。それ以上出しているはずですから。
 ちなみに、生活詩だけではなくて、原稿用紙4枚の「コント」っていう短編も出してました。それは後述します。