冬の焦げ

足跡のついた雪道を
一つ一つ確かめながら歩けば
あんたは幸せだ と
私よりも大きな足跡を持つ人が
白い息を吐いた

長靴の割れるような冗談だね と
私は雪を踏んだ

「おなご」である自分に
貧血をおこして倒れた
のぞきこむあの人の肩から
冬が崩れた

汚れていない雪道は
彼らのために造られたものだ と
白髪の混じった声が
簡単に笑った

感情は即座に
添削された

なべの中で雪が焦げついて
私は隠れてそれを捨てた
後ろにいたあの人の胸から
冬が消えた


 これは、採用されず、引用もされず、タイトルだけ載せてもらえる「佳作」扱いだったもの。そんな感じか。