不幸の一冊

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 いちばん古いまんがの記憶はなんだろう、と思い出そうとしても、記憶に日付の刻印がないのではっきりしない。ただ、まんがそのもののシーンをおぼろげながら覚えているものは多いが、読んでいる状況も覚えている古い記憶がある。
 あれはおそらく小学校3年生以前である。ある友人宅に友人が集っている。その友人宅にはおそらく、その一回しか行っていない。私はあまり親しくないその友人宅へ遊びに行ったのだろうか。それとも、班単位でやるイベントの準備か何かだろうか。
 とにかく、その家で私はまんがの単行本を読んでいた。それには4つくらい短編が入っていたが、どれもこれも似たような不幸話であった。
 簡単にまとめると、こんな感じだ。主人公はちょっとした不幸な状況になったり、悪い事をする。自分の立場は悪化する一方だ。主人公は悲観する。しかし、何かをきっかけに状況は好転するのだが、そんな頃、主人公はそれを知らずに自殺をしている。
 具体的に覚えているものは、友達の作品の盗作で入賞してしまい、結局友人はそれを許すのだが、それを知らぬまま池に浮かんでいる主人公、という話。いや、池に浮かんでいたのは違う話で、ひもにクビからぶら下がって死んでたかもしれない。とにかく、「許してもらえた、良かったね。これからはみんな仲良くね」程度のことで、全編自殺する話なのだ。
 そんな後味の悪い話を4つくらい続けて読んで、ひどく気が滅入った。あの本を貸されていたと言うことは、実は私、その友人に嫌われていたのだろうか?


(2009.6.30 追記)
その後調べたところ、この漫画は木内千鶴子作品だと思われる。盗作で自殺する話は「計画にない旅」のようだ。ホームページで作品が見れて、記憶にあった話と一致したので間違いないと思う。ただ、この話は、「ああ七島灘に眠る友よ」というコミックスに収録されているのだが、その他の話が記憶にある不幸話となんだか違う。
で、「天国が見つからない」というコミックスの方が、それ以外に読んだ自殺する不幸話を含んでいる感じだ。(例:出来心で色鉛筆盗んで自殺、家族を改心させるために子どもが自殺、親友とのディープな関係の中での自殺など)
もしかしたら私は友人の家で二冊読だのかも。
やはりこれがトラウマ漫画になっている人は多いようだ。