後期レッツゴーヤング、サンデーズで忘れられない人物、それがこの人である。私と妹の間では「ピンク」で通っていた。
その代のサンデーズは決まった色の服を着せられていた。他の人が何を来ていたのかは全く思い出せないが、彼女は濃いピンクの服だった。過剰なアイドル顔と喋り方に、そのピンク服はこの上なくマッチしていた。私の抱いた彼女のイメージは「キャラメルリボン」とか「コンデンスミルク」とかといった粘度と糖度だった。彼女はデビューはしなかった。しかし、この代のサンデーズのことを思い出そうとすると、縦ロールのような髪型にピンクのリボンをつけた彼女がボックスのステップを踏んでいたり、マイムマイムと同じようなステップで横歩きしている姿が浮かんでくる。本当にそんなことしてたんだろうか。
大学3年の夏休み、アルバイト先で、私と極めて近い嗜好を持っていた女の人と出会った。とにかく、やたらアイドルの話が通じる人だった。金井夕子の「パステルラブ」が好きだと言っていたり、高田みづえの話になって、私が「『花しぐれ』から3曲が好きだった」と言えば、「『女ともだち』はいまいちじゃない?」と、実際私も思っていたことをずばり言われたりした。私は彼女に「よい子の歌謡曲」の単行本や金井夕子の「ecran」のテープを貸し、彼女から古いエアチェックテープを借りたりした。そのテープには心当たりのある順番で知っている曲が入っていた。同じ放送を聞いて、似た嗜好で取捨選択すると同じテープが出来上がるのである。私は少し感動した。
ある日、バイト先からの帰り道、電車の中でサンデーズの話をした。彼女が、後期のサンデーズで唯一挙げた名前はやはり山本誉子だった。痒いところに手が届く人だ。
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