爆笑一ッ気族

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 新宿と言って思い出すもののひとつが、新宿コメディシアターである。大学生の頃一時期集中的に通った場所だ。目的は、「爆笑一ッ気族」の公開放送だ。
 この番組は日曜の5時からTBSで放送されていた公開コメディ番組で、出演者は山田邦子、シティボーイズ、井森美幸、笑福亭笑瓶等。割とパターンを踏んだ典型的な舞台物の喜劇番組であった。

 もうあまりに昔のことでよく思い出せないので覚えている方がいたら教えて欲しいのだが、確か公開放送を見るためには、局から送られてきた葉書を持っていくか、その前の週にも公開放送を見ている必要があった。前の週に公開放送を見ていると、その次の週はハガキで申しこむ必要無しに自動的に見ることができたはずだ。前の週に何らかの手続きをするのかどうかが良く思い出せない。手元にはこんな券が1枚だけ残っていのだが、これは、爆笑一ッ気族の最終回のものである。(私は券をとっておくはずなので、1枚しか残っていないというのが臭い。きっと翌週見るためには券を残しておけないシステムになっていたに違いない)
 その、連続観覧システムにすっかりはまって、なにがなんでも毎週行かなくてはならない、と頑張って通っていた。日曜日を公開放送のために空けるという暮らしである。爆笑一ッ気族は2本撮りで、1週分を生で、もう1週分を同じ日に録画していた。そのためその翌週は爆笑一ッ気族ではない違う番組の公開放送があったはずだ。そちらの番組名が思い出せないが、若手のお笑いの人達が持ちネタを披露するタイプの番組だったように記憶している。

 コメディシアターの横には場外馬券売り場があった。そのせいか客層は若者だけではなく、馬券を買いに来たいかにもそれらしき人達がちらほらと混ざっていた。その人達も含め、おそらく客席は常連客ばかりだったのだと思う。会場にいると前説からとてもなごやかで、ちっとも放送されている気のしない公開放送だった。だからかもしれないが、この番組、TVで見ると特に面白くないのだ。終わらないと良いなあ、と思っていたが、やっぱり終わってしまった。一応、こんなものも残っている。(他にも、斉木しげるの人気キャラクタだったパンツ一枚のやつとか、イモリのぬいぐるみを着た井森美幸の写真などもある。カメラ持ちこみ駄目と言われなかったぞ。たぶん)
 その後、深夜に同様の番組「爆笑深夜族」をやっていた。行きたいなあ、と思ったけど、行かなかったのはどうしてだろう。爆笑深夜族はまだ完全に無名の森口博子が出ていた。(こっちは、森口博子がハトの鳴きまねをしてる光景しか思い出せない。それ見て行くのをやめたのか?)

 ところで、私は学生時代貧乏だったが、類は友を呼ぶのか友人はみんな似たような貧乏さ加減だった。だから、そんなお金のかからない爆笑一ッ気族通いは、私たちの娯楽にぴったりだった。
 ある時、「生放送分で私たちがアップで映ったらしい」と、友人が教えてくれた。そして、彼女の知人がたまたまビデオに撮ったテープを借りてきてくれた。
 しかし、私たちは誰もビデオデッキを持っていなかった。私たちはレンタルビデオショップで、ビデオ1本(確か「業界くん物語」)とビデオデッキを借りた。そして頑張って別の友人の家のテレビに接続して、私たちがアップで映っている瞬間を見た。私は当然カメラを持っていっていて、そのシーンを一時停止して写真に写した。
 私が、テレビの画面を写真に撮った最後の記憶である。