イエロー太陽'S

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 私は素人が参加するタイプの番組があまり得意でない。だから、イカ天(イカすバンド天国)も殆どビデオに撮り、早送りをして見ていた。出てはいけない人たちをリアルタイムで見て許せるような寛大さがなかったし、審査員が絶賛しようが、普段聞かないようなつまらないまともなロックを全部聞く気もしなかった。最初の部分だけ聞いて、早送り。でも、ほぼ毎週なにかの事故が無い限り見ていた。
 イカ天関係のバンドでその後ライブを見に行ったのは、記憶にある分では人間椅子とこのイエロー太陽'Sだけである。イカ天のイベントも、イエロー太陽'S目当てで行った。イエロー太陽'S一押し!と言えるほど熱烈ではなかったが、こそこそとライブ情報で探したり、歴代イカ天キング、という文字を見ると知らず知らずイエロー太陽'Sを検索していた。
 どこに惹かれたのか…。当時審査員がよく「曲がキャッチー」と形容していたように、確かに曲が好きだった。「赤いチョコレートの下で」も「日曜日のハレルヤ」も。あとはボーカルのクールな顔立ちと声、だろうか。
 イカ天後期に再登場したが、その回はテープが足らず録画に失敗し、残念ながら彼らの歌の部分は見ていない。だから何を歌ったのかさえ知らない。

 1991年の夏、雑誌のCDの発売リストの片隅に、「イエロー太陽'S」の文字を見つけた。私はそこに書いてあった発売日を心待ちにし、CDを買いに行った。が、どこにもなかった。何件か回った後、店の人に問い合わせ、発売日が微妙に違っていたことを知った。そして、数日後、そのCDをようやく手にした。それが VMCH-1024「僕の心はバイオリン」である。
 このCD、音が薄かったり曲順が歌詞カードと違ったり、なんとも「手作り」な一品である。だが、私がこっそり贔屓にしていたイエロー太陽'Sの名前で売っていた唯一のCDなんだから、それはそれでよいのだ。

 さて、先日ゲストブックにこのバンドについて書いてらした方がいたので、メンバーの方々の名前で検索をしてみた。CDを発売した時点でメンバーとして書かれているのは次の方々である。

◆服部正俊 Vocal, Harmonica
◆KONTINO (今野潤一郎) Guitar,Sax Vocal
◆宮崎圭介 Bass, A. Guitar
◆古屋敷正巳 Drum, Percussion

 今野潤一郎さんは「今野潤一」名で、つるの剛士のホームページで友人、バンド仲間として載っていた。元イエロー太陽'Sとも書いてあるし、写真からも間違いない。
 宮崎圭介さんは、現在 the B-Street'sのギターで、「弦遊亭ギター教室」の講師もやっている方がご本人ではないかと思われる。写真の顔立ちからもおそらくご本人だと。
 古屋敷正巳さんは鹿児島県曽於郡大崎町の建設会社の代表の方の名前と同じだ、ということだけわかった。ご本人かは全く不明。
 そして、ボーカルの服部正俊さん。このお名前で検索するとほんの数件しか引っかからない。が、その中に、ある子供向けCDの中で、「歩いて帰ろう」を歌っている人の名前があった。早速Amazonで検索すると、3枚のCDが検索結果として表示された。全て97年ごろに日本コロムビアから発売された子供向けオムニバスCDである。そして全て「歩いて帰ろう」が収録されている。
 ご本人だろうか?
 実は私はそれを見て絶対本人のような気がした。何故なら、あまりにもこの歌とイメージが重なるのだ。頭の中で、イエロー太陽'Sのボーカルで歌をそのまま容易に置き換えられる。
 私はどうしても聞きたくなり、全曲オリジナル音源ではない、きっと子供だったら「TVと違うよー」と泣き出すかもしれない、オムニバスCDの1枚を購入し、その曲だけ聞いた。
 おそらく、ご本人だろう、と思う。私が勝手に頭に思い描いた歌声より若干細くて不安定な気もしたけれど、名前が同じでこのボーカルならきっと間違いない。私は、斎藤和義さんのオリジナルよりも断然このCDに収録されている「歩いて帰ろう」が好きである。
 実際これを歌っているのがご本人だとしても、今何をなさっているか、どういう経緯でこの曲を歌ったのかは全くわからないままではあるが、私はこの曲を聴いて再会できたような気持ちになった。